「中3なのに英語がほとんど分からない」
「単語を覚えても長文が読めない」
「高校受験の問題集を買ったけれど、難しくて進まない」
塾を経営していると、このような相談を受けることがあります。
しかし、一言で「英語が苦手」といっても、生徒によって状態はまったく違います。
例えば、
I am a student.
という英文の意味や仕組みから分からない生徒と、
英文法はある程度分かるけれど、長文になると読めなくなる生徒。
この2人に同じ問題集を渡しても、うまくいきません。
英語が苦手な生徒ほど大切なのは、
難しい参考書を選ぶことではなく、今の自分に合ったレベルから始めることです。
そこでこの記事では、高校受験に向けた英語の参考書・問題集を、
レベル0 基礎前
↓
レベル1 超基礎
↓
レベル2 基礎
↓
レベル3 基礎完成
↓
レベル4 標準
↓
レベル5 実戦
という6段階に分けて紹介します。
中3だからといって、いきなり高校入試の長文問題を解く必要はありません。
分からなくなったところまで戻る。
英語も数学と同じです。
戻ることは遠回りではありません。
まず確認|あなたはどのレベルから始める?
まず、次の英文を見てください。
① I am a student.
意味が分かりますか?
さらに、
「なぜIの後ろにamがあるのか」
を簡単に説明できますか?
ここから難しい場合は、**レベル0「基礎前」**から始めて大丈夫です。
② I play soccer every day.
意味が分かりますか?
「amがないのはなぜ?」
と聞かれて答えられますか?
ここが怪しい場合も、中1英文法からやり直しましょう。
③ He plays soccer every day.
なぜ、
playではなくplays
になるのか説明できますか?
難しければ、まだ中1英文法に穴があります。
④ I went to Sendai yesterday.
wentが何を意味するか分かりますか?
過去形まである程度理解できていれば、次の段階へ進めます。
⑤ I have lived in Miyagi for five years.
この英文の意味と文法が分かりますか?
ここまで理解できれば、中学英文法をまとめ直して入試基礎へ進んでもいいでしょう。
大切なのは、
「受験生だから長文をやらなければ」
と焦らないことです。
長文が読めない原因が中1英文法なら、中1まで戻った方が早いのです。
レベル0【基礎前】be動詞と一般動詞から分からない
おすすめ①『中1英語をひとつひとつわかりやすく。』
英語が本当に苦手な中3には、私は無理に高校入試用問題集をやらせません。
まず中1英語まで戻ります。
例えば、
I am a student.
I play tennis.
この2つを見たとき、
「なぜ上にはamがあるのに、下にはないの?」
となってしまう生徒です。
この状態で現在完了や関係代名詞を勉強しても、なかなか理解できません。
まず、
・be動詞
・一般動詞
・疑問文
・否定文
・三単現
・can
・過去形
など、中1英語の土台を作り直します。
こんな生徒におすすめ
・英語の定期テストが10〜30点程度
・単語をほとんど読めない
・be動詞と一般動詞の違いが分からない
・疑問文を作れない
・英語を見るだけで嫌になる
・何から勉強すればいいか分からない
この段階では、難しい長文は必要ありません。
まず、
「英文の仕組みが少し分かる」
ところを目指しましょう。
中3なのに中1英語へ戻っていいの?
もちろんです。
むしろ、私は戻った方がいいと思います。
例えば、
I am play soccer.
と書いてしまう生徒に、
現在完了や関係代名詞を大量に教えても、英語はなかなか安定しません。
なぜなら、
英語の土台そのものがまだできていないからです。
中3だから、中3英語をやらなければいけない。
受験生だから、入試問題を解かなければいけない。
そう考える必要はありません。
中1まで戻っていい。
場合によっては、小学校で習った基本単語まで戻ってもいい。
戻ることは負けではありません。
分からない状態のまま先へ進み続ける方が、結果的には時間がかかります。
レベル1【超基礎】中1は少し分かるが英文法がバラバラ
おすすめ②『中学英語をひとつひとつわかりやすく。』
be動詞や一般動詞は何となく分かる。
でも、
「過去形になると分からない」
「不定詞が分からない」
「比較が分からない」
「現在完了はもう無理」
という生徒です。
この段階では、中1・中2・中3の英文法を一度つなぎ直します。
英語が苦手な生徒を指導していると、
一つ一つの文法事項をまったく知らないというより、
「頭の中で全部バラバラになっている」
ケースがあります。
例えば、
be動詞。
一般動詞。
過去形。
助動詞。
不定詞。
動名詞。
比較。
受け身。
現在完了。
関係代名詞。
これらを一度整理して、
「英語にはこういうルールがあるんだ」
という状態を作ります。
レベル0〜1では「英単語」も同時に始めよう
ここが数学と英語の大きな違いです。
英文法だけ勉強しても、英単語が分からなければ英文は読めません。
例えば、
I visited my grandmother last Sunday.
という英文で、
visited
grandmother
last
Sunday
の意味がほとんど分からなければ、文法を理解していても内容をつかめません。
ですから、基礎英文法と同時に英単語も始めましょう。
ただし、
最初から1日100語覚える必要はありません。
例えば1日20語。
翌日に前日の20語を確認。
覚えていない単語をもう一度。
これを繰り返します。
英語が苦手な生徒ほど、
少ない量を毎日続ける
ことをおすすめします。
レベル2【基礎】英文法を中学3年間まとめ直す
おすすめ③ 中学3年間の英文法総復習系教材
中1の基本英文は分かる。
中2・中3の文法も一度は勉強した。
しかし、
「不定詞と動名詞がごちゃごちゃする」
「現在完了を忘れた」
「関係代名詞がよく分からない」
という生徒です。
この段階では、
中学3年間の英文法を一度総復習します。
ここで大切なのは、問題集を解いて○×をつけるだけではありません。
例えば、
I want to play soccer.
という英文なら、
「私はサッカーをしたいです」
と日本語にできるだけでなく、
want to+動詞の原形
という形まで確認します。
そして最終的には、
「私は英語を勉強したいです」
を、
I want to study English.
と自分で作れるところまで持っていきます。
レベル3【基礎完成】短い英文を正確に読めるようにする
英文法を一通り勉強したら、いきなり長い入試長文へ進む必要はありません。
ここで一段階挟みます。
それが、
短い英文を正確に読む練習
です。
例えば、
I have a friend who lives in Sendai.
という英文を見て、
単語の意味だけをつなげるのではなく、
I have a friend
「私は友達がいます」
who lives in Sendai
「仙台に住んでいる」
と英文の構造を考えながら読みます。
英語が苦手な生徒ほど、
単語を日本語に変換して何となく意味を想像する
読み方になりがちです。
ここから、
「英文を文の構造から読む」
という読み方へ変えていきます。
レベル3では音読も始めよう
短文を正しく読めるようになったら、私は音読もおすすめします。
ただし、
意味が分からない英文を100回読む
という方法ではありません。
まず、
①英文を読む
②分からない単語を調べる
③文法・文構造を確認する
④日本語訳を確認する
⑤内容を理解した状態で音読する
という順番です。
大切なのは、
「意味が分かった英文を繰り返し読む」
ことです。
英語が苦手な生徒ほど、目だけで勉強を完結させず、声も使って英語に触れてみてください。
レベル4【標準】いよいよ高校入試の長文へ
おすすめ④ 高校入試の基礎〜標準レベル英語長文問題集
ここでようやく、長文問題集へ進みます。
英単語。
英文法。
短文読解。
この3つがある程度できてからです。
高校入試の英語では長文読解の比重が大きいため、最終的には長文を読む力が必要になります。
しかし、
長文が読めないから長文を大量に解く
だけでは、伸びないことがあります。
長文が読めない原因が、
「単語不足」なのか。
「英文法」なのか。
「英文を前から処理できない」のか。
「読むスピード」なのか。
原因を確認することが重要です。
長文問題集はこう使う
私は、長文問題集をただ、
解く→丸つけ→次へ
とは進めません。
おすすめは、
①時間を測って解く
まず自力で問題を解きます。
↓
②分からなかった単語を確認
知らない単語に印をつけます。
↓
③英文の構造を確認
なぜその日本語訳になるのか確認します。
↓
④全文の意味を理解する
内容をしっかり理解します。
↓
⑤音読する
意味を理解した状態で繰り返し読みます。
1つの長文をここまで使えば、ただ問題を解いて終わるより、得られるものは多くなります。
レベル5【実戦】宮城県高校入試・過去問へ
おすすめ⑤ 宮城県公立高校入試の過去問題集
基礎〜標準レベルの長文が読めるようになったら、最後は実戦です。
宮城県の受験生なら、宮城県公立高校入試の過去問を使います。
ここでは、
・時間配分
・長文読解
・英作文
・リスニング
・文法・語彙問題
などを、本番を意識して練習します。
過去問は、
「何点取れたか」だけを見る教材ではありません。
例えば50点だった場合、
「長文で15点落とした」
「英作文がほぼ書けなかった」
「単語・文法問題で10点落とした」
など、失点した原因を分析します。
そして、
過去問で弱点発見
↓
参考書・問題集へ戻る
↓
もう一度過去問
という流れを作ります。
英語が苦手な中3の参考書ルート
ここまでをまとめます。
レベル0 基礎前
be動詞・一般動詞から分からない
『中1英語をひとつひとつわかりやすく。』などからスタート
↓
レベル1 超基礎
中1〜中3の英文法に大きな穴がある
中学英語全体をやさしく解説する教材
+
英単語学習開始
↓
レベル2 基礎
基本は分かるが英文法があやふや
中学3年間の英文法総復習
↓
レベル3 基礎完成
英文法は分かるが英文を読むのが遅い
短文読解+全訳+音読
↓
レベル4 標準
短い英文なら読める
高校入試基礎〜標準長文
↓
レベル5 実戦
入試レベルの長文もある程度読める
宮城県公立高校入試過去問・実戦問題
このように進みます。
全部の参考書を買う必要はありません
ここは非常に重要です。
この記事で紹介したレベルを、
0→1→2→3→4→5
とすべて購入する必要はありません。
自分の現在地を確認して、そこから始めてください。
そして、その教材が終わったら、
次のレベルの問題が解けるか確認します。
解けるのであれば次へ。
難しければ、もう一度復習します。
参考書を何冊持っているかは重要ではありません。
その1冊から何を身につけたか。
こちらの方がずっと大切です。
「単語帳だけ」「文法だけ」にしない
英語では、勉強が一つに偏ってしまうことがあります。
単語だけ毎日やる。
文法問題集だけやる。
長文だけ解く。
これでは入試英語全体の力はつきにくくなります。
ある程度基礎ができてきたら、
英単語
+
英文法
+
英文読解
+
音読
を組み合わせましょう。
例えば1日60分なら、
英単語 15分
英文法 20分
英文読解・音読 25分
という方法でも構いません。
毎日少しずつ英語に触れることが大切です。
宮城県の受験生は新みやぎ模試を活用しよう
宮城県の中3生なら、新みやぎ模試の英語の答案をぜひ確認してください。
偏差値だけ見て終わりではありません。
例えば、
単語・文法問題から落としている
→ レベル0〜2へ戻る
短い英文は読めるが長文で落としている
→ レベル3〜4
長文は読めるが時間が足りない
→ レベル4〜5
英作文で点が取れない
→ 基本文法と英文を書く練習へ戻る
というように、答案を見ると次にやるべきことが見えてきます。
模試は、
自分の弱点を見つけるための教材
として使いましょう。
保護者の方へ|英語が20点でも、いきなり長文をやらせなくて大丈夫です
高校受験が近づくと、
「長文をやらせなきゃ」
「過去問をやらせなきゃ」
と焦ると思います。
周囲の受験生が過去問を始めると、なおさらです。
しかし、お子さんが、
I am a student.
I play soccer.
この違いから分からないのであれば、私は中1英語まで戻します。
それでいいのです。
英語が苦手な生徒にとって、
分からない英文を毎日眺める時間ほど苦しいものはありません。
逆に、
「これ分かる」
「読めた」
「自分で英文を作れた」
という経験が一つずつ増えてくると、表情が変わる生徒がいます。
勉強は、できないことを責めるためにするものではありません。
昨日できなかったことを、今日一つできるようにするためにするものです。
中1に戻ってもいい。
単語から始めてもいい。
be動詞からでもいい。
大切なのは、そこから一段ずつ上がることです。
まとめ|英語も一気にレベルを上げない
高校受験が近づくほど、
「早く入試問題をやらなければ」
という気持ちになります。
しかし英語が本当に苦手な生徒ほど、焦ってはいけません。
基礎前
↓
超基礎
↓
基礎
↓
基礎完成
↓
標準
↓
実戦
一段ずつでいいのです。
単語が分からなければ単語へ。
be動詞が分からなければ中1へ。
英文法が分からなければ英文法へ。
短文が読めなければ短文へ。
そして短い英文を正しく読めるようになってから、長文へ進む。
中3だから中3の教材を使わなければいけない、というルールはありません。
今の自分に合ったところから始めてください。
英語は積み重ねの教科です。
だからこそ、
土台から積み直せば、もう一度伸ばすことができます。
「英語が苦手だから無理」
ではありません。
まずは今日、
自分に合った1冊の最初の1ページから始めてみてください。
