「少しでも偏差値の高い高校を目指した方がいいのでしょうか?」
「ギリギリで合格する高校より、少し余裕を持って入れる高校の方がいいのでしょうか?」
高校受験が近づいてくると、このような相談を保護者の方から受けることがあります。
これは、簡単には答えを出せない問題です。
私は長く学習塾で生徒たちを指導してきましたが、結論から言えば、
「高校は偏差値だけで決めない方がいい」
と考えています。
もちろん、自分より学力の高い生徒が集まる高校を目指すことも素晴らしいことです。
一方で、少し余裕を持って入学し、高校で上位を目指すという選択にも大きなメリットがあります。
大切なのは、
「どの高校に合格するか」だけではなく、「その高校に入ってから3年間をどう過ごすか」
です。
今回は、宮城県で高校受験を考えている中学生・保護者の皆さんに、塾長として高校選びについてお伝えしたいと思います。
「少しでも偏差値の高い高校へ」は間違いなのか?
決して間違いではありません。
むしろ私は、生徒が自分から、
「この高校に行きたい」
「もう少し上を目指したい」
と言ってきたのであれば、その気持ちはできる限り応援したいと思っています。
今の自分より少し高いところを目指すからこそ、人は成長することがあります。
受験勉強を通して、それまで取れなかった点数が取れるようになる。
模試の判定が上がっていく。
苦手だった数学や英語が少しずつ分かるようになる。
そして、
「自分でもここまでできるんだ」
という経験をする。
これは高校受験の大きな価値の一つだと思います。
また、自分より学力の高い生徒が多い環境に身を置くことで、刺激を受けてさらに伸びる生徒もいます。
ですから、
「ギリギリになりそうだから志望校を下げよう」
と単純に考える必要はありません。
挑戦する価値は十分にあります。
ただし「合格すること」がゴールになってはいけない
一方で、私が高校選びで気になるのは、
高校に合格することだけが目的になってしまうこと
です。
中学3年生にとって高校受験は大きな出来事です。
そのため、
「何としてでも○○高校へ」
という気持ちが強くなるのは当然です。
しかし、高校合格の日はゴールではありません。
むしろ、
そこから高校生活が始まります。
高校では、中学校より学習内容が難しくなり、授業のスピードも上がります。
中学校では上位だった生徒が、高校では真ん中になることもあります。
場合によっては、入学直後から下位になってしまうこともあります。
それでも、
「この環境で頑張りたい」
と思える生徒なら問題ありません。
ただ、
「高校の名前だけで選んだ」
「周りから勧められたから受験した」
という場合には、入学後に苦しくなってしまうことがあります。
だから私は、
「合格できるか」だけではなく、「合格した後、その高校で頑張っていけるか」
まで考えてほしいと思っています。
少し余裕を持って高校に入るメリット
では、少し余裕を持って高校に入ると、どんなメリットがあるのでしょうか。
一つは、
高校の中で上位を目指しやすいことです。
たとえば、少し背伸びをした高校に入って下位からスタートする場合と、少し余裕のある高校に入り上位を狙える場合。
大学進学まで考えると、必ずしも前者が有利とは限りません。
高校では定期テストがあります。
評定もあります。
そして現在の大学入試では、一般選抜だけではなく、学校推薦型選抜や総合型選抜という選択肢もあります。
高校でしっかり成績を取ることが、その後の大学進学の選択肢につながる場合があります。
また、これは数字以上に大切なことですが、
「自分はできる」という感覚を持てること
も大きいと思います。
テストで上位に入る。
先生から評価される。
友達に勉強を教える。
そうした経験を重ねることで、自信がつき、さらに勉強するようになる生徒もいます。
高校入学時の偏差値だけでは、その3年後までは分かりません。
逆に「余裕がありすぎる高校」ならいいのか?
ここも注意が必要です。
私は、
「余裕を持って入れる高校なら、どこまで下げてもいい」
とは考えていません。
本人が本当はもっと上を目指せるのに、
「勉強したくないから」
「絶対に落ちたくないから」
という理由だけで大きく志望校を下げるのであれば、一度考えてほしいと思います。
中学生には、まだ自分でも気づいていない可能性があります。
最初から自分で自分の限界を決める必要はありません。
「今の成績では無理そうだから」
ではなく、
「ここから頑張ったら、どこまで行けるだろう?」
という経験をすることも受験では大切です。
ですから私は、
「上を目指すこと」
と
「余裕を持った高校を選ぶこと」
のどちらか一方が正しいとは思っていません。
「挑戦する高校」と「余裕を持って入る高校」どちらを選ぶ?
私は高校選びをするとき、偏差値だけではなく、次のようなことを考えます。
- 本人が本当にその高校へ行きたいのか
- みやぎ模試などでどのくらいの位置にいるのか
- 入学後、どのくらいの順位になりそうなのか
- 大学進学実績はどうなっているのか
- 推薦などの進路選択肢はどうなのか
- 部活動と勉強を両立できそうか
- 通学時間に無理はないか
- 3年間その高校に通う姿を本人が想像できるか
高校の偏差値は大切な情報です。
しかし、偏差値は高校を選ぶための一つの数字にすぎません。
偏差値が1高い、2高い。
それだけで高校生活の価値が決まるわけではありません。
「高校の偏差値」と「高校での順位」は別の話
これは保護者の方にもぜひ知っておいていただきたいことです。
高校入試では、
「どの高校に入ったか」
に目が向きやすくなります。
しかし大学進学を考え始めると、
「その高校でどのくらい頑張ったか」
も重要になってきます。
偏差値の高い高校に入ったから、自動的に希望する大学へ行けるわけではありません。
反対に、第一志望ではなかった高校へ進学しても、そこで努力を続け、上位に入り、自分の希望する大学へ進学する生徒もいます。
高校受験の結果だけで、その子の3年後は決まりません。
私はむしろ、
高校に入ってからの3年間の方が大切だ
と思っています。
私なら「少し頑張れば届く高校」をまず目指してほしい
中学1年生や2年生、あるいは受験までまだ時間がある中学3年生なら、私は最初から安全なところだけを考えてほしいとは思いません。
まずは、
少し頑張れば届きそうな高校を目指してほしい。
その高校を目標にして勉強する。
模試を受ける。
弱点を見つける。
また勉強する。
そうやって自分の学力を伸ばしていけばいいと思います。
その結果、秋から冬になって、
「この高校に挑戦しよう」
となるかもしれません。
逆に、
「もう一つ下の高校に入り、そこで上位を目指そう」
という結論になるかもしれません。
どちらでもいいのです。
大切なのは、
自分で考えて、自分が納得して選ぶことです。
高校受験は「一番偏差値の高い高校に入る競争」ではありません
受験指導をしていると、どうしても偏差値や点数の話が多くなります。
もちろん私たち学習塾は、点数を上げるために指導します。
行きたい高校があるなら、合格できるように全力で応援します。
でも、私は高校受験を、
「自分が入れる中で、一番偏差値の高い高校を探すもの」
だとは思っていません。
高校は3年間通う場所です。
そこで友達ができます。
部活動をします。
悩むこともあります。
成功することも、失敗することもあります。
そして高校卒業後には、大学、専門学校、就職など、それぞれの道へ進んでいきます。
だからこそ、
高校の名前だけではなく、その高校で過ごす3年間まで想像して選んでほしい。
私はそう思っています。
最後に――高校選びで一番大切にしてほしいこと
「ギリギリでも上の高校を目指すべきですか?」
「少し下げて余裕を持った方がいいですか?」
もし相談されたら、私は一人ひとり答えを変えると思います。
上を目指したことで大きく成長する生徒もいます。
自分より勉強のできる仲間に囲まれ、負けたくないと頑張れる生徒もいます。
だから、
自分より上を目指すことは、決して悪いことではありません。
むしろ、挑戦するからこそ見える景色もあります。
一方で、少し余裕を持って高校に入り、そこで上位を目指すことも立派な戦略です。
どちらが正解ということではありません。
私が大切だと思うのは、
「その高校に合格できるか」だけではなく、「その高校に入ってから、その子が伸びていけるか」
という視点です。
高校受験は人生のゴールではありません。
そして、一度の高校受験ですべてが決まるわけでもありません。
挑戦する高校を選んでもいい。
少し余裕のある高校を選んでもいい。
大切なのは、
高校3年間を終えたときに、「この高校を選んでよかった」と本人が思えること。
偏差値だけを見るのではなく、その子の性格、将来の希望、学習状況、部活動、通学、そして本人の気持ちまで含めて考える。
それが、私が考える「後悔しない高校選び」です。
